顧客の怒りを一瞬で鎮める聴き方のコツNo.14
2019年08月07日コールセンター応対力 コラム顧客の怒りを一瞬で鎮める聴き方
14.相手の心に届くベストな受け止め
喫茶店で隣の席の女性二人組が何やらもめています。
1人は携帯電話で誰かと大声で話しているのが聞こえてきます。電話を終えた女性が憤慨して「信じられない、課長は全然私のこと信用してくれない、話聞いてって言ったのにお前が悪いってさ」。二人組のもう一人の女性が「信じられない、私なんてこの間ね~」と自分の話をしてしまうというやり取りがありました。「うちなんてもっとひどいよ」「私なんかね」などの接続詞を用いて人の話を盗み、自分の話にすり替えていきます。これは相手の立場になっているとは言えません。
効果的な聞き方があります。
反映的に聞くという方法です。先程の女性の例ですと、「課長が全然信用してくれないと思っているのね」「悪いって言われる前に課長に話を聞いてほしかったのね」という具合にです。
先ほどの女性の会話を仕事バージョンに置き換えてみましょう。
「私どもではこのようなケースですと・・・」という接続詞を使うと、会社視点の言い訳が始まります。相手視点に置き換えると、「お客様を全然信用していないと思われているのですね」「お客様が間違っているとお伝えする前に、話のやりとりを聞いてほしかったということですね」になります。
グッと我慢し、意識を目の前の人に向ける、「相手が言ったこと」にプラスして次の言葉をつけるだけです。
「・・・と思ったのね」
「・・・してほしかったんだ」
「・・・感じたんだ」
相手が言っていることをそのまま反映させるというやり方です。
相手の立場になって、その人の心に届くベストな言葉が投げかければいいですが、経験していないことをそれらしく言うことの方に無理があると思います。また、私もそうですが、多くの人が何と言葉をかけていいか分からないというのが本当のところではないでしょうか?東北地震の被災者の方々の気持ち、また電力会社の社長の気持ち、突然事故で家族を失った気持ちなどなど。人間には試練ともいうべきさまざまな状況があります。その状況を味わった人にしか分からない苦悩もあります。そのような状況下でこそ、あなたが何と言葉を発したらよいか分からない時ほど、この「反映する聞き方」をするだけで、相手の立場に立った聞き方ができるようになります。