顧客の怒りを一瞬で鎮める聴き方のコツNo.12
2019年08月07日コールセンター応対力 コラム顧客の怒りを一瞬で鎮める聴き方
12.話の主導権を3分で握り返す
もし、相手の怒りが収まらず、ずっと怒り続けていたら・・・想像すると怖いですね。
私が過去に聞いた中でクレーム最長時間は、5時間です。その間、相手はトイレに行ったり、飲み物を飲んだりと長期戦だったようですが、担当者はトイレにも行けず、頑張り続けました。これは例外かもしれません。事情が込み入っている場合を除き、一般的な場合には怒りの内容そのものは3分程度で把握できます。怒りの内容は分かっても、なすすべなく付き合ってしまうことはないでしょうか。
まず、怒っている相手にはまず吐き出してもらうのが鉄則です。しかしその間は相手が会話の主導権を握っています。あなたが何か言おうものなら、10倍になって返ってきます。このタイミングでは口を挟まずに相づち上手になって相手の怒っている気持ちと事態を聞くことに専念するのが良いでしょう。ただ、会話の主導権を握っているのは相手ですから、どこかのタイミングであなたが主導権を握り返し、事態を収拾する事が必要になってきます。それはどこなのかです。
大きくは4つです。
1. 怒りの内容と相手の気持ちが把握できた時点
2. 質問しないと事情が分からない時点
3. 解決に向けた提案をする時点
4. 今後の対処を示す時点
1.についてはもう少し詳しくお話しします。商品が届かない、間違った商品が届いた、説明通りにしたのに上手く動かないというのは起きている事象です。その事象だけでなく、そうなったことで相手が受けた精神的ダメージも理解する必要があります。その2つの事情を把握した時点が、あなたが会話の主導権を握り返すタイミングです。こちらの対処が分からないと、なすすべなく相手の怒りに巻き込まれてズルズルと会話が長引いてしまいますが、お互いに時間の無駄です。対処が分からなければ、「質問する」ことや「調べて回答する」ことが「対処」です。
主導権を握り返すタイミングとは、あなたが話し出すタイミングです。相手はそんなに怒り続けることはできません。息継ぎもしますし、自分で言いながら自分の感情や要望をまとめて自分で納得している人もいます。会話の途切れ目が必ずあります。そこが声を挟むタイミングです。相手の声とかぶらないように、相手の言い分が止まったところで、声を挟みます。
そして主導権を握り返すトークを伝えます。
主導権を握り返す基本トーク
「さっそくお調べいたします」/「急いで対応いたします」
「ここまでのお話を整理させていただいてよろしいでしょうか」
「ここまでは、○○様のご理解と一緒でしょうか?」
アレンヂを加えると・・・「山田様、お話くださってありがとうございました。事情を私自身が理解することができました、お急ぎで頼んでくださったのに、連絡がこなければ心配になるのは当然です。結果、お約束を破ることになってしまい、本当に申し訳ございません」となります。
名前を呼びかけ、会話に入り込んでいくのはプロが使っている方法です。
短い言葉なので、会話の間に割って入りやすいですし、自分の名前を呼ばれると、相手の言葉が止まります。
「話してくれてありがとうございます」のお礼も効果的です。怒っている人は、何度も同じことを言うのが嫌です。何度も言っているうちに腹がさらに立ってくることもあります。上司出せと言ったものの、「また同じことを伝えなきゃいけいない」とうんざりしています。
ただ、プロはどのような事情があったのか、わかっていてあえて聞く場合もあります。これは相手の気持ちに深い共感を示したり、そんな事情があったとは・・・と事実を共有できるからです。
主導権を握り返すことができれば、不要な怒りに長々と付き合うことは断然減るでしょう。